Lot 73 妖(あやかし)の住む院 page1 page3



まずは東の門からご案内。
この門は、本当は牛車が通れるくらい大きく、門の内には車宿りといって、いわゆる車庫の建物がありました。
主人は毎日この門から大勢の供をつけて出入りするし、お客さんもこの門から出入りするので、ここだけでもすんごい広かったと思われます。
家司や下人の部屋も門近くにありました。
あと、壁はこのような板塀じゃなく築地塀です。良い感じの壁紙が見つからなくてこうなりました。
屋根は寝殿造の特徴の一つ、檜皮葺。シムでは色しか似せられませんが(;^_^A
で、今で言う玄関はなくて、牛車へ直接乗り降りできる渡殿(屋根付きの廊下)があったんだと思います。そこを車寄せと言います。

篝火、葦簀:御衣香桜
扉:NanaWildflowers1
格子窓:XMSims
馬:Comhair
巫女:いただきもの



その渡殿が寝殿に続いています。

高欄窓:妄想天国
壁紙、釣燈籠:遙かなるsimの中で



対と対の間にはこのような坪庭があったりしました。
ここは寝殿と東の対の間の坪庭なので、遣り水が流れています。遣り水は邸内の北東から南へ流すのが定石でした。
対と対を繋ぐ渡殿にも、シム建築の都合上付けられなかっただけで、本当は屋根があります。

橋:The Simposium
落ち葉:五風十雨
岩:Persimmon Grove
植物:GardeningSims、Boudoir Blanc

そうだ、このThe Simposiumの橋、ラグなんですがなぜかシムに大人気で、そのままだとシムがここへ引き寄せられて、何にもしなくなってしまいます。
Atelier Quebecのガゼボもそうでした。フリーウィルで遊びたい時にとても困るんです。
しかし、これを解決するのは実に簡単!
オブジェクトをiffペンシルで開き、TTAB→右窓に出る各項目クリック→PropertiesのAvailble to visitorsなどについているチェックを外すだけです。
iffに詳しい方に教えて頂きました。調べても有益な情報を見つけられなかったのでとっても助かりました。ありがとうございました!



さて、こちらがなんちゃって寝殿です。寝殿とは寝る為の部屋という意味ではなく、ざっくり言えば主人が暮らす母屋のことです。



寝殿造に詳しい方がご覧になったら笑っちゃうくらい雰囲気だけの再現です。
よくご存じない方がご覧になったら、まず、こんなパーパーで冬はどう過ごすの!?と思われるでしょうが、本当はこの御簾が巡らされている壁の外側に、もう一枚壁があります。
その壁には格子という上下開閉式の板戸……鎧戸、雨戸と言った方が想像しやすいかな?が、はめ込まれていて、必要に応じて上げ下げして暮らしました。
壁にはほぼ全て格子がはまっており、人が出入りするのには妻戸という観音開き出来る板扉がありました。
なので、格子を全部降ろして、妻戸も閉めれば、ちゃんと密閉した居住空間になったというわけです。
ただ、そうしちゃうと中は真っ暗になっちゃうんですね。格子は窓じゃなく、板なので。この時代って、ガラス窓はもちろんのこと、障子窓のような採光できる窓がまだ存在しなかったんです。
その役割を果たしたのが御簾でした。採光、換気をする為には格子を上げなきゃいけないけど、それじゃあまりにもお外とボーダーレスなので、御簾を垂らしたのです。御簾は網戸のようなカーテンのような存在ですね。
と、そのように、基本の造りからして完全におかしいですし、他にもおかしなところだらけなのですが、ちゃんと再現するにはそもそもサイズが全然足りないんじゃぁぁぁ。笑
感覚的には、実際の寝殿の広さって、この4倍くらいはあったんじゃないかなぁと思います。そこを屏風や几帳など簡単に動かせる物で仕切って、臨機応変に空間を変えて暮らしていました。
何せ、なんちゃって寝殿造です!
その辺りを広〜い目で見ていただければ、数々の素晴らしいオブジェクトのおかげで、ものすごく雰囲気はある造りにできました。

御簾、襖壁紙:遙かなるsimの中で
階:妄想天国
柱:Jendea Simitecture



寝殿のメイン、昼の御座(ひのおまし)です。雅だぁぁぁ……!



遊ぶ物は大体ここに置いたので、昼間はここに人が集まってくる感じです。

几帳、屏風、二階厨子(左)、琵琶、笛:遙かなるsimの中で
二階厨子(右)、座布団、茵、貝合わせお道具、双六、囲碁:御衣香桜
脇息、燈台:妄想天国
畳、花台(笛の台):BNJ×LVR
蒔絵の台:SimFreaks.com
蒔絵の筺:仔猫館
オウム型電話:CH2O

そうそう、オウムはお馴染みCH2Oさんの電話です。平安時代にオウム?と思われるかもしれませんが、オウム、いたんですよ! 枕草子にこんなくだりがあるのです〜。

鳥は 異所のものなれど 鸚鵡 いとあはれなり。人の言ふらむことをまねぶらむよ。

鳥は外国のだけどオウムが特別おもしろい! 人の言葉を真似て喋るんだもの〜。といったところでしょうか?
田辺聖子さんは一条帝への贈り物としてやってきた鸚鵡が宮中にいて、それを中宮定子つき女房である清少納言が愛でていた、という風に書いてらしたと思います。
この鸚鵡というのがどの種類の鳥かはわかりませんが、喋るみたいだし、鸚鵡の読み方はオウムで良いみたいだし、大型で喋れる鳥だったんじゃないかな?と想像。
なので、このキバタンが寝殿造の建物の中に居るのは時代錯誤ではないのです〜。
無類の鳥好きのわたしとしては、平安の宮中でオウムが(・Θ・)イトオカシ!メデタヤ!キィー ←格子を上げる音 とかやってて、女房たちが可愛がってたかもしれないと思うだけで、すごい楽しくなります。笑



寝殿のもう半分のスペースで食事が取れるようにしました。台所は、潔くナシです!
寝殿造を建てるにあたって悩み所だったキッチンですが、ホテルトレイの力により解決です!
和プレイに合うご飯もたくさん種類があって本当にありがたかったです。

お膳:ちとせうめ
机:Atelier Quebec
座布団、ホテルトレイ:御衣香桜
衝立、装花:BNJ×LVR



お次は坪庭を挟んで北側にある北の対の紹介なんですが、その前に。
この坪庭も、色々流行というか決め事があり、寝殿の裏手のこの坪庭辺りは、前栽といって、季節の草花を植えることが多かったようです。
貴族の女性は屋敷内からほぼ出ることのない暮らしで、お庭くらいでしか季節を楽しむことが出来なかったので、各々趣向を凝らした造園をしました。
だからこの坪庭も、こんなに狭いわけないんですねー(;^_^A
実際はもっと渡殿が長くて、お庭が大きかったと思います。



さて、その坪庭の向こうの北の対、こちらは寝室にしました。
当時はもちろん「寝室」なんてありません。寝殿にある御帳台の中か、昼間過ごす場所より少し奥まった所に几帳など巡らせて寝床を作って眠るか、もしくは塗籠と呼ばれる壁に囲まれた部屋で眠りました。
ただ、シムピ的にはどうしても必要ですからね、寝室が。致し方なしです(;^_^A



どうせ作るなら雰囲気は良く!と頑張りました。ここレイアウトするの楽しかった〜。



そもそも布団がない時代です。着ている着物を掛け布団にして眠ったそうです。
でもそれ、夏場は良いとして冬はどうだったんでしょうね。冬は布団のような綿の入った着物を着ていたって話ですけど、それでも寒そう。
それにしても、几帳が素敵です! 御簾に並んでこれぞ平安アイテムですね。

布団、鏡台、直衣:御衣香桜
几帳:妄想天国
お道具:遥かなるsimの中で
屏風:Juniper Sun
天蓋:Sims Interior Designs
蒔絵の棚:BNJ×LVR
壁に掛かった着物:The Coconut Hut
蒔絵の文箱(左):仔猫館
蒔絵の筺(右):壮麗狂花
畳:飴降り京傘
段差オブ:sona-Nyl



布団、衝立:BNJ×LVR



有り得ないの極みは西の対。ここには湯殿と、隠してますがトイレがあります。
トイレは御衣香桜さまの恥ずかしがらないトイレ、シンクはTSRから、紅葉の植木鉢はdincerhepguler、壁に掛かっている布はTokageSimsです。



温泉ホットタブでも衛生は回復するんですが、サクッと回復させたい時用に、恥ずかしがらないシャワーも置いています。雰囲気を損なわないようカーテンで隠しています。

温泉タブ、枠、シャワー:御衣香桜
カーテン:ExoticElements
鯉:Persimmon Grove



そして、西の対からは釣殿へ行けます。
釣殿といっても釣りをするための場所ではなく、夏場に水辺で涼をとるための場所でした。
遣り水にしろ釣殿にしろ、寝殿造の建物は、基本京都の蒸し暑い夏を少しでも涼しく過ごすことを重視して建てられていました。

柱:Jendea Simitecture
柵:Robita”何でも”Note
鯉の池:SavageSims
蓮:Enchanted
白鷺:Boudoir Blanc
落ち葉の焚き火:Sky-HI



屋外へ行って、寝殿の南表の庭です。白い玉砂利を敷くのがセオリーでした。
木は基本植えませんが、季節の木を根ごと運んできて一時的に飾ったり、枕草子には、中関白家が良く出来た造花の桜の木を飾ったなどという記述もあり、贅沢に季節を楽しんだようです。
なので、この紅葉もそういうつもりで配置してみました。
この庭は、蹴鞠をしたり、儀式の時に楽人を置いたり、舞人のための舞台を置いたりと、様々なシーンに合わせて活用しました。

木:FerndaleSims
枯山水床材、石:BNJ×LVR
落ち葉:五風十雨
石のエッジ:Persimmon Grove
玉砂利:D-Homes
弓矢:御衣香桜



そして庭園です。北東から流した遣り水で、南側に大きな池を作るのが当時の定石でした。池には中島をいくつか設け、朱塗りの高欄の橋で結びました。
本当は奥の方に小山を作ったりして、本物の山の景色さながらに造園したようです。
今回お庭の季節を秋にしたのは、お稲荷さんとか狐ってなんとなく紅葉が似合うかな〜と思ったからです。

橋:Atelier Quebec
木:FerndaleSims、GardeningSims、BNJ×LVR、Nature、御衣香桜



そのお稲荷さん、屋敷の片隅にあります。寝殿造にお稲荷さんがあるのはオカシイですが、そういうプレイなのでってことでひとつ。



お供えに見立てて置いてあるいなり寿司は、ペットのご飯です。
ペットに必要なものがこの辺りに色々置いてあります。

柱、柵、垂れ幕、賽銭箱、仏具:BLANCA
注連縄、花瓶、御神酒:御衣香桜
蝋燭:Simprover
お稲荷さん:しむさ
敷石、台:BNJ×LVR
いなり寿司、落ち葉(ペットベッド):壮麗狂花

建物紹介、以上です。では、実際の暮らしぶりをご覧下さい〜!